オリジナリティーの源泉

学生の皆様、

研究は新規性、オリジナリティーが大事です。初めて世に知らしめるから研究なのです。そうでなければ調査(リサーチ)です。

初めてのことを見出すにはどうしたらいいでしょう。とても単純なことですが、「このことは自分が初めて見つけた!」のだということを、認識することから発見は始まります。そのためには、他の研究を知らないといけません。ここが大事なポイントです。しかるに勉強なのです。意外と研究するために勉強しなくてはいけない「理由」は高尚でないのかもしれません。

もう少しかみ砕いて言いましょう。

論文を読んだら証明できたことや発見できたこと、新しいことが沢山書いてあります。若い君は、「もう、自分がやることはないのかな~」と少し憂鬱な気持ちになることもあるかもしれません。

でも、そんなとき、海を見て下さい、山を見て下さい、川を見て下さい。そして、本当に科学はこの自然界を解明したのかどうか、ゆっくり考えてみて下さい。もしかしたら、なんでどのようにして、「この抗生物質」が生まれてきたのか(もちろん自然界での意味です)、意外と分かっていないことが多いことに気づくかもしれません。分かっていないことは沢山あります。なんで、必須アミノ酸は9種類で20種類ではないのか?とか、色々。

本を読んで、論文を読んで、分かっていないことを見つけるようにして下さい。分かっていることは、書かれているのだから、それを知ることができるのは当たり前です。そこであぐらをかかないで下さい。大学院生になったら、「自分が知らなかったことを勉強する」だけではなく、「この世の誰も知らなかったことが何であるかを発見し」、そのことが重要ならば、探求に邁進するようにならなくてはいけません。

分かっていないことを見つけるのは、分かっていることを勉強するよりも少し難しいです。そこに力を入れたらいかがでしょうか。

正直言って、そんなところからオリジナリティーが産まれるのではないかと思います。

緒方博之