西山拓輝さん(D3)が共同筆著者の下記の論文がBMC Gastroenterologyに受理されました。近大医学部の櫻井先生らのグループとの共同研究第2報です。おめでとうございます!
Toshiharu Sakurai1*, Hiroki Nishiyama2*, Tomoyuki Nagai, Susumu Goto, Hiroyuki Ogata, Masatoshi Kudo. Deficiency of Gankyrin in the small intestine is associated with augmented colitis accompanied by altered bacterial composition of intestinal microbiota. BMC Gastroenterology (2020).
ガンキリンというタンパク質は「がんタンパク質」で、その発現抑制は炎症性腸疾患(IBD)患者の炎症を軽減させうるのではないかと考えられてきました。しかし、マウスでガンキリン遺伝子欠損株を作製したところ、予想に反して、薬剤により大腸炎を誘発すると、正常マウスに比べて炎症が逆に増加する傾向が観察されました。また、ガンキリン欠損株では、抗微生物ペプチドであるαディフェンシン5と6の発現が減少することが見出されました。このことはガンキリンがディフェンシンの発現を制御することにより、腸内細菌叢を健康な状態に保持している可能性を示唆しています。興味深いことに、ガンキリン欠損株マウスでは、Helicobacter japonicumといった病原性の細菌の相対頻度が増加していることも明らかになりました。また本研究により、ガンキリンが上部小腸で発現することが、腸内細菌叢を健康に保つことに重要であることも示唆された。ガンキリンの部位特異的発現が腸内細菌叢の恒常性の維持に役立っているのかもしれません。